無濾過生原酒とは?特徴やお勧めの飲み方を酒屋がやさしく解説!
日本酒には製造、出荷方法によって様々な呼び方があり、店頭でお酒のラベルを見てもわかりにくい商品があるかもしれません。
日本人は季節感をとても大切にしていますが、それは国酒である日本酒も然り。季節ごとに販売される商品があり、それがまた日本酒の特徴でもあり素晴らしい日本の食文化の一端を担っていると思われます。
その中で一番季節感を感じられ日本酒の美味しさを体感できるのが「無濾過生原酒」ではないでしょうか?
「無濾過生原酒」とは?
「無濾過生原酒」は「無濾過」「生酒」「原酒」という3つの特徴が一つになったお酒です。どのようなお酒なのか知っておくと、より美味しく楽しんで飲んでいただけるでしょう。
日本酒の「無濾過」と「濾過」の違い
日本酒の造りで「濾過」とは雑味や見た目を損なう恐れのある澱(おり)を取り除く工程で濾過することにより味わいと香りが洗練された酒に仕上がります。澱(おり)は主に酒の主成分が固まってできた物ですが、これを取り除くということは酒の旨味の成分も除去されるということ。
つまり無濾過のお酒は、出来立てのフレッシュな味わいと香りがそのままダイレクトに楽しめるお酒なのです。
日本酒の「生酒」とは?
「生酒」とは文字通り加熱滅菌処理(火入れ作業)をしていないお酒。
貯蔵した後に火入れをしたものを「生貯蔵酒」
一回火入れした後貯蔵したものを「生詰め酒」
火入れ→貯蔵→二回目火入れしたものを「火入れ酒」と言い、通常流通していて、お店の棚に常温で並んでいるのがこのタイプです。
一切火入れをしていない「生酒」は、瓶の中に酵母がまだ生きていますのでフルーティな香りと味わいを楽しめます。ただし保存状態により品質が変化してしまうため温度管理をし、冷蔵保存が必要です。
日本酒の「原酒」とは?
通常の日本酒は、搾った後に水を加えてアルコール度数を15度前後に調整する「加水」という作業をして味わいや香りを整えます。
加水していないものを「原酒」と言い、水を加えていないためアルコール度数は20度前後で、濃厚でしっかりとした味わいです。
原酒が美味いと言われるのは、旨味たっぷりの濃厚さを楽しめるからではないでしょうか?
「無濾過生原酒の特徴」
無濾過生原酒は通常の日本酒よりも緑がかったうすい黄色をしていて、少し濁ったようにも見えます。これは濾過作業をしていないためで、濾過の過程で様々なものが取り除かれると透明感のある色合いのお酒になります。澱のようなものが含まれる場合もありますが、そのまま飲用していただいても大丈夫です。
原酒ですので、アルコール度数は20度近くあり少し高めです。
その分旨味たっぷりで濃厚な味わいになります。
「無濾過生原酒」の美味しい飲み方と保存方法
原酒は度数が高めですので、キリッと冷やして飲むのがおすすめです。夏の暑い時期でしたら氷を入れてロックはいかがでしょうか?
氷がだんだんに溶けていき、また違った味わいが楽しめます。
生酒は加熱処理をしていない為、お酒の酵母などの成分が生きています。品質が変化しやすい商品なので開栓前でも必ず冷蔵庫で保管をして下さい。庫内でもドアポケットなど温度差がある場所は避けたほうが良いでしょう。また日本酒は光の影響をうけやすいので、長期保存の場合は黒や茶色の瓶は光を通しにくいのですが、緑や白のフロスト瓶でしたら箱のまま保管しても良いでしょう。
開栓後は空気に触れる面積を狭くするために瓶を横にせずに立てて保存し、なるべく早めに飲み切るのをおすすめします。
美味しい「無濾過生原酒」を体験してみませんか?
冬から早春にかけて年に一度だけ出荷される、生まれたての日本酒を味わうことができる季節限定のお酒が「無濾過生原酒」。
「無濾過」「生酒」「原酒」という3つの特徴が一つになった、とても繊細で感動的な味わいで、日本酒の美味しさがギュッと濃縮された、とても魅力的なお酒なのです。
「無濾過生原酒」についていろいろとご説明させていただきましたが保存方法や扱い方、飲用方法など少しだけ特殊な部分もあります。日本酒は酒類の中でも一番デリケートな商品ですので、美味しく飲んでいただくために是非知っておいていただきたいと思います。
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